日本の労働環境 終身雇用の維持が無理だと認め始めたことについて

経済団体のトップや日本有数の巨大企業のトップも、終身雇用の維持が難しいことを公言し始めた。
ようやく、という感じだ。

当然、この言葉に反発している人が相当数いる。しかし、遅すぎたと私は思っている。本来、グローバル化に舵を切った、数十年前に手をつけるべきだったのではないか。今まで手をつけなかったために問題が大きくなりすぎたのだ。無理だとなるまで放置せず、傷が小さいうちに少しずつ対応していればよかっただろうに。
旧来の日本企業のままであれば、日本型のやり方によい面もあったし、終身雇用でもよかったであろう。日本人1億総中流の時代、個人の能力に依存するのではなく総合力で勝負し、相互に助け合い、全員が運命共同体であった時代の日本的企業のままであれば。しかし、現在ではメリットよりもデメリットの方が大きくなってしまっている。

このブログでも、日本の労働環境カテゴリで 何回も書いてきているように、新卒一括採用・終身雇用が引き起こしている問題があると考えている。
特に、以下の記事では特にそれらのことに触れている。当然、他の記事も関係している部分は多いので、興味のある方は読んでいただければ、と思う。
日本の労働環境 どうすべきなのか その3
日本の労働環境 どうすべきなのか その5
日本の労働環境 どうすべきなのか その6
日本の労働環境 どうすべきなのか その7
日本の労働環境 どうすべきなのか その9

企業の構造が変われば、必要とされる人材も変化してくる。必要とされる人材が変化するのであれば、個々の能力を活かせる場に移れるような環境を整えた方が社会全体から見てもプラスであろう。その会社で必要でなくなっただけで、他の会社では能力を活かせるはずなのだから。
また、終身雇用制度が維持できないことに反発しているのは、正規雇用の人たちが殆どであろう。正規雇用の人の中には、「自分が優秀だから」「努力してきたから」正規雇用だと思っている人も少なくないだろう。本当に優秀なのだったら、終身雇用という制度など関係なく、どの会社でもやっていけるだろう。何の問題も無いではないか。


終身雇用の問題が、限界まで先延ばしを続けた結果、問題が大きくなったと述べた。
同じような問題がある。社会保障の問題だ。年金、生活保護、健康保険、これらを維持することは無理だと誰もが知っている。それなのに、改革しようとせず先延ばしを続けている。さあ、どのような結末を迎えるのだろうか。