日本の労働環境 どうすべきなのか その5

現在の日本の会社では、採用、異動、昇格などの人事機能が適切に働いていないと書いてきた。その原因は、新卒一括採用・終身雇用にあると考えている。
個々人の適性に合った仕事をするには、解雇や降格もハードルを低くすべきだろう。人事権の濫用の懸念もあるが、金銭解決の手段でよいのではないだろうか。金銭解決として、現在の1ヶ月前の解雇予告あるいは、1ヶ月分の賃金では軽すぎるだろうが。一部の人が言っている12か月分の賃金とかいうのも論外であり、それは実質的な解雇規制強化となる。数か月分の解雇手当を支給し、後は失業手当などの社会的セーフティーネットで生活を保障していけばよい。
人材の流動化により転職が当たり前になれば、転職回数が転職市場でのマイナス評価につながらなくなる。現在では転職回数が多いと、人間性を疑問視されたり、自社でも長続きしないのでは、などと評価されることがあり、大きなマイナスとなっている。将来的には、転職回数が多いことが、自己のステップアップを図ってきた結果だとプラス評価されるケースがあるかもしれない。
人材を受け入れる企業の側でも、長期の継続勤務を期待しなくなるので、担当者が入れ替わることを前提とした仕組みに変わらねばならない。長期間の勤務を望まないのであれば、中高年でも転職時に年齢がハードルにならなくなるかもしれない。現在は40代くらいになると転職市場では相当厳しいと思われ、そのことが社内に無用な中高年が居座り続ける原因ともなっている。その会社を辞めたら生活できなくなるので、当人にとっては切実。
将来的には、解雇や降格されることについても、個々人の能力の問題ではなく、業務適性や環境との相性と捉えられるようになるだろう。管理職としての適性が無い場合に、降格や解雇ができないというのは当人にとっても不幸なことだし、当人以上に周囲は不幸である。管理職としての適性がないだけで、他の役割では活躍できる場もあるだろう。