日本の労働環境 どうすべきなのか その6

人材の流動化が進んでいないということが、ひとつの社会問題として顕在化してきている。サービス残業などの、ブラック企業問題だ。
どんなにブラックな環境であっても、この会社を辞めたら生活できなくなる、という恐れがあるから辞められない。一度雇用してしまうと簡単には解雇できないので転職を受け入れる企業側にも躊躇があり、転職市場も小さい。転職市場が小さいゆえに会社の奴隷のような状況であっても辞められない。もしも十分に大きな転職市場があり、転職回数や年齢がマイナス評価されなければ、ブラック企業に勤める必要はない。万一転職できなかった場合の不安についても、社会的セーフティーネットがあればベターである。
終身雇用という形で会社に縛り付けることが転職市場をゆがめており、ひいてはブラック企業も存在できているのだ。そしてブラック企業というのはその会社の従業員だけではなく、社会全体に対しても悪影響を及ぼしている。
ブラック企業が存在することにより、まっとうな企業が被害を受けている。ブラック企業は劣悪な環境を強いることで原価を下げることが可能だが、そのブラック企業と競争するためには他の企業も価格を上げられない。ブラック度をどこまで我慢できるか、というチキンレース状態に見える。


「いや、そんな会社ばかりではない。自分の会社はホワイトだ。」という人がいるかもしれない。しかし、そのような会社の多くも仕入先や協力会社に無理を押し付けているであろう。仮に自社はホワイトだと言い張っても、ブラックを付回しているだけだ。そして、そのブラック労働による製品やサービスを消費者として享受しているのである。
日本はブラック会社によって成り立っているという認識を持たねばならない。しかし、ブラック企業の存在は社会悪であり、淘汰されるべきものだ。