日本の労働環境 役員人事のいい加減さの実例

会社の人事において、きちんとその人の能力や適性を考慮していないことを、このブログで繰り返し述べてきている。
現実に目にした、いい加減な役員人事について書きたいと思う。

グループ子会社をいくつか抱えている、親会社側での話である。あるとき、グループ全体での効率化を図るため、各会社で持っている間接部門の機能を集約してはどうかと、役員に提案した人がいた。その役員は、その考えには反対の立場だったようで、却下されたそうだ。
ここまではいい。その役員の考え方、ポリシーがあったのであれば。たとえ経営判断が誤りだったとしても、だ。
ところが、その数年後に親会社自体が他の企業との統合合併で吸収される側の立場となった。そのとき、持ち株会社と複数の事業会社に分かれ、その一つが間接部門を集約した会社だった。そして、その間接部門を集約した会社の社長に、その役員が就くことになったのだ。
なんとひどい人事なのだろうか、と感じた。間接部門の集約に反対していたのに、その会社の社長になるとは。確かに、統合合併という事情で状況が大きく変わったことは分かる。しかし、間接部門の統合に反対する考え方の人を、そのような役割に就けるというのはおかしいだろう。役員自身の方針と合わないはずなのだから。

日本の労働環境 人材配置の問題その4でも書いたが、役員自身がきちんと判断したり、責任をとることなど見たことが無い。そもそも、能力や適性を考慮した上で役員となり、適切な分野を担当しているわけではない。
このような人事を続けている限り、日本企業の将来は暗い。

しかし、残念ながら、このような人事を行っているのは企業だけではない。パソコンを触ったことが無い人が、サイバーセキュリティ担当に任命されることもあるくらいだ。日本そのものの将来が暗いのかもしれない。