日本の労働環境 「一回で覚えろ」と指導する先輩社員

会社の中に、「一回しか言わない。一回で覚えろ。」という指導をしている先輩社員たちが蔓延していないだろうか。こんな指導しか出来ない人、早く絶滅してほしいものだ。
何かを教えられて、それを一回で理解できるというのは、条件が必要だろう。それは、教えられる側がその前提となる知識を身につけていることだ。
例えば、業界内では普通に使っている言葉であっても、その言葉を知らない人には、まずは言葉から教えなければならないだろう。
何かを教えようとしても、会計科目という言葉すら知らない人に経理業務を教えるとか、パソコンを触ったことの無い人にプログラミングを教えるとか、そこまで極端ではないにせよ、やはり前提知識が無ければ、「何がわからないのかすらわからない。質問すら出来ない。」という状況だろう。

以前、日本の労働環境 人材配置の問題その1で 円の面積は半径×半径×円周率 だと説明をしても、相手に知識がなければ「なぜ」を説明することは不可能だと書いた。この場合、積分の知識が必要なのだ。積分の中でも、三角関数積分を理解していなければならず、三角関数を理解するためには三平方の定理も前提知識となるだろう。当然、それらを理解するためにはその他にも数多くの前提知識がある。
では、相手に知識がないのであれば、どのような指導をすべきなのか。今は前提知識がないので一回では理解できないと考え、前提知識が身につくまでは何回か指導し、前提知識も徐々に教えていく、とするしかないだろう。先輩社員の中にも、「なぜ」を説明できずに、表面的なことだけしか指導できない人が珍しくないわけだが、非常に嘆かわしいことである。

学校の勉強を思い出していただきたい。特に数学なんかは、一度つまづいてしまうと、それ以降の授業についていくことは難しくなるだろう。前提となる知識が抜け落ちてしまっているのだから。
もし、「一回しか言わない。一回で覚えろ。」が通じるのであれば、学校の教師なんて、すごく楽だろう。授業について来れない生徒のことなど考えず、トップレベルに合わせて一度だけ教えればいいのだから。授業時間なんて、2分の1、3分の1どころか、もっと少なくなると思う。