日本の労働環境 無能な上司その2

前回に続き、無能な上司について。
今回は業務に優先順位を付けられない、「すべて最優先」上司。
突発的に発生した業務を上司に命ぜられたとき、現在抱えている業務とどちらを優先するのか確認するだろう。そのとき、「すべて最優先だ」と答える上司がいる。頭がおかしいとしか思えない。
「この業務は後回しで構わない」というのはマネジメントの世界だ。業務は自分ひとりで完結するものではなく、成果物が他の部門や取引先に影響するものがほとんどだろう。何が優先なのか、担当が勝手に判断すべきものではない。

このタイプの上司は、もともと時間管理のおかしな人が多いように感じる。一例を挙げると、「1日は8時間ではない。24時間だ。」という人だ。時間が無限に湧いてくるとでも思っているのだろうか。最近はここまで極端な人は少なくなっているだろうが。
時間管理のおかしな上司がプロジェクトのスケジューリングをすると、とんでもないことになる。ひどいものになると、プロジェクト開始時から毎日数時間残業が前提になっていたものがある。当然、突発的なことも発生するので数時間の残業では足りず、土日も出勤することになる。

優先順位を決めることがいかに大事か、について一例を挙げる。よく、「安全第一」という言葉を耳にするが、単なるスローガンと化していることが多い。それは第二・第三がないからだ。「安全第一」だけでは、「納期短縮も第一」「コスト圧縮も第一」「売上も第一」となってしまう。
ヤマト運輸の小倉会長の話がある。運送会社である以上、事故は起きてしまうものである。「安全第一」と言ってはいるものの、事故は減らない。あるとき工場見学で「安全第一 能率第二」と貼ってるのを見て、「安全第一 営業第二」であることを社内に宣言した。それで事故を減らすことができた。
それまでは、「安全第一」は単なるスローガンであり、現場では配送をこなすことが優先されていたのだ。現場の担当が勝手に「営業第二」とは出来ないだろう。優先順位を明確にするということはマネジメントの重要な役割だ。