雑談 メガバンクが週休3~4日制度を導入するという報道に思ったこと

メガバンクが、週休3~4日を選択できる制度を導入するという報道があった。
この報道を見て思い出したのは、10年以上前にビル・トッテン氏が書いた『「年収6割でも週休4日」という生き方』という本だ。ずいぶん昔に読んだ本なので、細かいところまでは記憶していないが大筋は覚えている。
著者はコンピュータソフトウェア会社の代表であった。2009年に発売された本であるが、その頃から、日本のGDPが減少していくことを覚悟し、社員も覚悟を持つべきだとの考えを持っていたようだ。


これは、著者自身が会社の代表として、日本の経済環境が悪くなれば売上も下がることは避けられないが、それでも社員を解雇しないという決意表明でもあったようにも思う。
ただし、会社の売上が下がるのであれば従来通りの給与を支払うことはできなくなる。当然会社の仕事量も減ることになるので、従来同様の労働力は必要なくなる。そのような状況になった場合でも雇用を維持するために、一人ひとりの労働時間を減らし、給与も減らさざるを得ないことを述べている。
しかし、単純に給与が減るだけであれば従業員は生活できなくなってしまう。そのためにも労働時間が少なくなることで空き時間が増えるのだから、その時間を有効に使うようなライフスタイルに変えていける準備を勧めている。例えば、家庭菜園であったり、自分で裁縫をしたり料理をしたり、あるいは何らかの副業であったり、自分の時間を使うことでお金を使わない生活へと変えていくという感じだろう。
会社としては、社員自身が空いた時間を使って少ない給与でも生活できるよう、ライフスタイルを変化させる準備を支援していくとしていたと記憶している。


2009年と言えば、リーマンショックの翌年である。既にその頃から、必要とされる労働力が少なくなることを予測し、週休4日という世界があり得ることを述べていたのだ。
今回、新型コロナによる影響という側面が大きいが、現実にいろんな業界で廃業によって失職する人が増えたり、大企業でも人員削減が行われている。この報道のメガバンクでは人員削減ではなく、多数の人員の配置転換や、労働力の削減という手段を採っているだけだ。
日本全体で見ても、社会全体で必要とされる労働力が少なくなっていくだろうし、しばらくはその状況が続くと思われる。これからも、たくさんの企業で同様の動きが出てくることも予測される。
もともとメガバンクではIT活用などで効率化が進めば余剰人員が出てくることは予測されていたし、それが急激に起こっただけとの見方もある。同じような業界、企業はたくさんあるだろう。社会構造が変化し、新たな業界で雇用が生み出され、人員の再配置が社会全体で行われるまで不安定な状況が続くことになるかもしれない。