雑談 学術会議の任命拒否問題に思うこと

最近、日本学術会議が推薦した候補の一部を任命しなったことが問題となっている。私としては、一定の条件を満たすことが出来るのであれば、任命拒否も正当だとは思う。ただ、現状では不当だと思われる。


私は、以下のような条件が必要だと考える。

  • 政府から独立していないことを明言する。
  • 政権が変わった場合、学術会議のメンバーも入れ替えることを可能とする。それが可能でなければ、前政権の意向に沿う提言が続くことになってしまう。
  • 政治家や中央省庁側が十分な知見を有すること。日本学術会議の提言を(どちらかといえば批判的な立場に立って)検証し、日本学術会議と議論するだけの知見がなければならない。そうしなければ、単一的な視点からの判断で政権運営が行われることとなり、危うい結果をもたらす恐れがある。

以上のことが可能であれば、任命拒否もありだと思う。ただし、それでは独立性が失われ、政権の意向に沿った考えが主流となってしまう。つまり、日本学術会議の存在意義そのものを問い直さねばならない。
もしも任命拒否を妥当だと考えるのであれば、いっそのこと日本学術会議の解体まで視野に入れるべきではないだろうか。政府との独立性が保たれていてこそ存在意義があるのであって、そうでなければ政権ごとに提言組織を構成すればよい。
個人的には、完全に政府から独立させるべきだと思っている。政府として責任を持つべきなのは、学術会議の提言を受け入れるかどうか、その判断ではないだろうか。そして、学術会議の提言と政府の判断とを記録しておくことで、後々その結果を検証できるようにしておくことも必要であろう。


これに関連して、「政策に反対する官僚は異動」させる趣旨の発言をしたことも触れておきたい。
こちらについては、当然そうあるべきだと思う。中央省庁の局長級以上は、政権ごとに入れ替わったほうが良いとも思っている。政権ごとに外部から連れてくるイメージ。国家公務員試験で合格した職員は局長級に就くことはできず、その下の職位を最高とすべきだろう。国家公務員試験を通過しただけであって、国民の信任を得ているわけではないのだから。そのような者が政権の近いところで影響を与えるのは好ましくない。

ただし、こちらも前提条件はある。例えば、以下のようなものだ。

  • 大臣自身が監督すべき省庁のことを理解し、適切な知識と判断力を有すること。政権から官僚へ指示していくトップダウンの色合いが強くなるのだから、この能力は必須であろう。パソコンを使ったことないサイバーセキュリティー担当大臣など、言語道断である。
  • 長期政権が維持できないような仕組みとすべき。アメリカの大統領は最大でも 2期までとなっているように、一定の期限を設けること。長期政権が可能となれば、政権を維持することが主目的となることも考えられる。
  • 政治家自身が選挙時の公約を守ること。なぜならば、有権者が公約を支持したのであるから、その公約を実現すべく動かねばならない。選挙で当選するために到底実現不可能な公約を掲げる候補者もいるが、少なくとも、選挙公約と真逆の行動をとってはならない。「TPP反対」から「TPP推進」へ態度を変えた人がいたことも記憶にある。
  • 何か問題があった場合には、任命者も責任を負う覚悟をしておくこと。私生活上の問題や言葉尻をとらえたようなことまで責任を負う必要はないが、政策に関する問題は政権側が負わねばならない。


学術会議や官僚の問題について思うことは、政権が任命権を持つのであれば、解任権も持つべきだということ。任命するのであれば、その責任も負うこと。また、政府から独立していないことを明言すること。
そうなった場合、学術会議の提言は政府の意向が反映されたものであり、単なる補助的な役割になっていることを国民も認識せねばならない。