雑談 某政治家の「10万円給付で貯蓄が増えた」という意見に思うこと

今回の新型コロナ関連の経済支援策の一つとして、一律10万円の定額給付金が配られた。
このことについて、困窮した家庭については効果があったことを認めながら、貯蓄に回した家庭も多かったと某政治家が述べている。


これはある意味当然の結果だったとしか思えない。多くの人も予測していた通りである。
なぜならば、従来からの政府の姿勢が「老後の生活のために自分で備えておけ」というものなのだから。このことは、老後の生活費として年金では2千万円不足する(表向きは取り消したようだが国民の意識には強く刻まれた)とか、現首相の「まずは自助」で「公助は最終手段」という考え方にも表れている。
不測の事態があっても政府は助けない、そのことを国民が感じているので貯蓄をするのだ。これが数十年続いてしまっている結果が現在の日本のGDPに反映されている。今後も一人当たりのGDPは世界の成長率についていけず、2050年頃には日本は貧困国になっているという予測をしている人もいるようだ。実際そうなっても不思議ではないし、もっと早い時期かもしれないとすら思ってしまう。


一方ではお金を蓄えておけと言いながら、一方では給付した10万円を使えと言う。政策に整合性がなく、どのような国にしたいのか、その理念も感じられない。このような状況では不安のほうが強いので、将来に備えて貯蓄に回す人が多いのは当然であろう。


今回の給付金問題では、「生活に困っている人も少なくないので素早い給付が必要」「生活に困っていない人に配る必要はない」という考え方があった。生活に困っている人だけに配るには審査が必要となるので時間がかかってしまうため、最終的には素早く配ることを優先して一律給付となった。まあ、実際にはマイナンバーカードを利用した給付を盛り込んだせいで混乱した面もあったが・・・。
この給付のあり方について、多くの人が意見を言っていた。生活に困っていない人にもいったん配って、年末調整や確定申告で調整すればいいのだと。そうすれば、素早い給付ができて、最終的には生活に困っている人の手元に残り、経済効果もそれなりにあったであろう。
「10万円給付で貯金が増えた」という発言は、「生活に困っていない人に配る必要はない」「経済効果は薄い」という考えをもう一度はっきりと言っておきたかったのだろうか。