日本の労働環境 アリ社会と比較するのはどうなのだろうか

よく、2~3割のアリは働かないことと比較しながら、会社の中でも同じようなことがあると述べる人がいる。だから、働かない社員を解雇したり、給与を減らしたりしろ、という論理につなげるわけだが。
果たして、アリと比較することは適切なのだろうか。私はそうは思わない。


アリの社会ではコロニーを維持するための役割として、女王アリの世話、卵や幼虫の世話、餌を取りに行くなど、大まかに分かれている。それぞれの役割の中で、感度の高いアリが最初に動き始め、感度の低いアリは仕事にあぶれた状態となる。そのうち、働いていたアリが疲れたりして休んだりすると、仕事にあぶれていたアリの中から仕事をするものが出てくる。休んでいるアリは、働いているアリのバックアップとして必要なのだ。もし、最初から全てのアリが働いていたとしたら、全てのアリが働けなるときがくる。そうなったら、コロニーの維持が出来なくなる。


さて、人間の場合はどうだろうか。全員が同じ仕事をするわけではなく、会社(上司)が仕事を割り振っている。細分化された役割を担当し、そこで成果を出すことが求められる。営業という役割の中でも、さらに細分化され、担当する商材や取引先を会社が指示しているだろう。アリのように仕事に対する感度で動き始めるのではなく、会社の指示で仕事に取り組むのだ。
それでは、人間の場合は成果を出すことが出来るかどうか、どこで違いが生じるのであろうか。それは、向き不向きであると考える。一人ひとりが成果を出すことが出来るよう、それぞれの適性に応じた役割を与えることこそが重要なのである。当然、業務に対する適性だけではなく、人間関係まで含めた環境面も成果に大きく影響することも間違いない。