日本の労働環境 人の評価なんてあてにならない

今まで、評価制度に問題があることを繰り返し述べてきている。
今回は、業績評価のようなオフィシャルなものではなく、雑談の中で語られるような、「○○さんって~~だよね」みたいなものについて述べたい。これらの評価も全くあてにならないものが多い。


例として、「○○さんは数字に強いから聞いてみるといい」という評価を聞いたことがある。実際にその人と話をしたときに思ったことは、「数字に強い」のではなく「数字を覚えている」だけ、ということだった。
X年度の売上はY億円、利益はZ億円だったとか、過去数年分の主な数字は覚えているようだった。ただ、数字の分析はまるでしていない。
単純な金額のことだけは覚えていても、それ以外のことは覚えていない。例えば、「売上数量は例年と同レベルだったけれど、粗利益は良かった」とか、「売上数量は伸びたけれど、最終利益は落ち込んだ」ということも分からないのだ。当然、要因分析も全くしていない。粗利益の高い(低い)商品の売上数量がどうなのか、物流費がどうだったのか、販売管理費がどうだったのか等、全く分析していない。
このように、ただ数字を覚えているだけの人を、「数字に強い」と評価している例もある。


ところが、誰かがこのような評価をすると、他の人からも同じように見えることがある。これが認知バイアスとなり、最終的には人事考課の際にも影響することがある。そして、上司が変わる際にも「○○さんは~~だから」と伝えることすらある。こうなってしまうと、後任の上司もそのフィルターがかかってしまう。
このフィルターが良い効果をも当たらす場合もあれば、悪い効果をもたらす場合もあるだろう。どちらかと言えば、悪いことの方が多いのではないだろうか。それは、「出来ない」「無能」「やる気がない」などといった悪い印象の方が強く残るからだと思う。

人を評価するに当たり、誰かの評価フィルターがかかった状態で見るのではよろしくない。まっさらな状態で評価すべきだろう。