雑談 米国の対メキシコ関税は有効なのだろうか

先日、米国がメキシコからの輸入品に関税をかける方針を表明した。その目的が、不法移民対策の強化をメキシコに求めることだという。
関税をかけることで、不法移民問題が解決すると思っているのだろうか。私には、問題が改善するようには思えない。恐らく、もっと巧妙になるなど、実態はもっと悪化するのではないだろうか。

なぜならば、不法な手段を使ってでも入国するのは、それだけの価値があるからだ。不法入国することによる罰を受けるリスクはあることを承知の上で、それ以上のメリットがあるから不法入国するのだ。
そのメリットとは、やはり経済格差だ。メキシコからの不法入国者の多くは、中米からメキシコを通過して来るのだという。それらの国は貧困に苦しむ人が大半を占めており、治安上の問題も抱えている。であれば、どのような手段を使ってでも米国に行きたい、と思う気持ちが生まれてくるのも当然だろう。

もし、この状況でメキシコを経済的に苦しめるとどうなるだろうか。米国への入国を望む人が増えるだけではないだろうか。格差が大きければ大きいほど、罰を受けるリスクには目をつぶってでも、米国を目指すことになる。

不法移民の対策として本当に有効なのは、相手国を経済的に苦しめるのではなく、安定させることだろう。相手国が経済的に安定し、生活の不安が解消されれば治安も改善する。格差が小さくなることで、不法入国することのメリットも小さくなるのだ。メリットが小さくなれば、相対的に罰を受けるリスクが大きくなるだけだ。

そう考えると、関税の本当の目的は不法移民問題ではなく、別のところにあるのだろうか。