雑談 金融庁が示した人生100年時代の蓄え指針で思ったこと

政府は、物価スライド等はあるけれど、基本的には年金額が減ることはありえない、という説明をしていたと記憶している。年金制度が維持できないことは、全国民が感じていたにもかかわらず、である。
しかし、今回の指針では、金融庁が年金等の公助を維持していくのが困難であることを認め、自助を堂々と求め始めたことになる。

これでは、日本のGDPはさらに縮小していくことが確定したようなものだ。ある程度資産を持っている人たちもお金を使わなくなり、社会にお金が回らなくなる。個人の消費が伸びなければ、企業も投資をしないし、賃金も上がらない。
デフレ脱却どころか、デフレ加速に舵を切るようなものだ。まあ、デフレになれば物価スライドで年金支給額を減らせるかもしれないけれど・・・。
(政府に対して影響力のある)今の高齢資産家たちは、物価が下がれば相対的に資産の価値が上がるので、資産は増えなくてもいい、という社会を目指しているのだろうか。しかし、経済成長させた方が、自分の資産を加速度的に増やせるので、そちらの方が得だと知っているはずだし。

年金制度を維持できないことを認めながら、それでも年金の徴収を続けるのは正気ではない。国民年金を納める人などいなくなるだろう。今でも国民年金を全期間納付したところで年金だけでは生活できないのだけれど、この状況がさらに悪化するのだから、年金を納めずに生活保護受給を選択する人も増えるだろう。

遅すぎるかもしれないが、社会保障制度を根本から見直さねばならない。金融庁が今回の指針を出したことは、その布石であるかもしれない。年金制度、生活保護制度、健康保険制度、これらを見直し、新しい社会保障制度を作ろうというメッセージなのかもしれない。その前段として、まずは年金制度を維持できないという意識を持たせる意図でもあるのであろうか。