日本の労働環境 年長者による搾取

では、今回は少し違ったベクトルの話、収入面で年長者に搾取されていることについて書きたい。

もともと日本企業は、終身雇用・年功序列を前提に制度設計されてきた。このことにより、若いうちは収入が低く、年齢とともに収入も上がるようになっていた。会社の利益が、若い人より年長者に多く配分される仕組み。会社に貢献していない年長者など、珍しくないだろう。それでも、多くが年長者に配分されている。
若い人が会社に与えた利益を若い人が受け取るのではなく、多くが年長者に搾り取られている。公的年金も若い人の稼ぎから高齢者に分配しているが、同じようなことが企業内でも起きているのだ。個人的には、年金の二重制度と思っている。
これは終身雇用・年功序列年制度を維持できることが前提になっており、維持できるのであれば年長者による搾取があってもいいのかもしれない。なぜならば、ある程度若いうちに一生分の利益を生み出しているのだから。会社にもたらした利益を、長期に受け取るだけだ。若いころに年長者に搾り取られた分を、自分が年長者になったときに受け取るだけ、という考え方である。ただし、無駄な仕事を増やすなど、余計なことをしてはならない。何もせずに、過去の利益を受け取るだけなら許せる。
現実問題として、公的年金も維持が困難になってきているように、企業の終身雇用・年功序列制度も維持は困難である。であれば、会社にもたらした利益を、長い期間で受け取るのではなく、そのときに受け取るようにするべきだろう。

ではどうすべきなのか。企業内の仕組みではなく、日本社会の問題として考えていかなければならない。他の問題点とあわせて考えるべきことなので、個人的な思いを述べていきたい。長くなりそうな予感。