日本の労働環境 長期休暇を取れない日本企業

今回は、なぜ日本企業では長期休暇を取れないのか考えてみたい。
日本では長期休暇でイメージするのは、せいぜい1週間程度だろう。一方、海外では2週間とか1ヶ月とかも珍しくないようだ。とあるプロジェクトで、外資系企業の米国拠点で数年間勤務した経験のある人と一緒に仕事をしたことがあるが、その時に雑談で聞いた内容を参考にしている。
なぜ日本では長期休暇を取れないのかではなく、なぜ海外では取れるのかを考えたほうがよいかもしれない。なお、日本国内の外資系企業、という意味ではない。日本国内の外資系企業も、日本国内の法律に従う必要があり、日本企業としての側面も持つからだ。

まず、海外では成果がすべてということがあるだろう。求められる成果さえ出していれば、労働時間など重要ではない。成果を出せなければ、休暇云々ではなく、それ以前の話として解雇されるだけなのだが。
また、海外では終身雇用でないことが挙げられる。企業側は成果の出ない労働者を解雇するし、労働者の側も条件のよいところがあれば転職する。つまり、人が入れ替わることを前提としなければならない。
これがどう関係しているのか。労働者が急に入れ替わっても業務への影響が最小になるようにしておかなければならないということだ。簡単に引き継ぎ出来ないようなやり方をしているとか、外部と癒着して不正なことをしているとか、そのようなことがあっては困るのだ。
この人がいなくなっても問題ないか、時々第三者の目に触れさせることも必要だろう。長期休暇はそのような機会にもなる。簡単に人を入れ替えても困らないようにしておくことで、「明日から来なくてよい」ということも出来るのだ。

それでは、日本ではどうなのか。
成果よりも何時間働いたか、が今でも重視されている。成果主義といいながら、評価する側に成果を評価する能力がないことは以前述べたとおりである。また、長時間労働で休暇も取らないことをよしとする、旧態依然とした日本全体の雰囲気もある。
在宅勤務関係の記事を読んでいたときに、「在宅で仕事しているか管理者にわからない。監視する仕組みが欲しい。」という意見を目にしたことがある。なんと馬鹿なのだろう。成果ではなく、9時~17時に仕事をしていることが重要なのだ。
雇用環境も終身雇用が前提になっていて、人が入れ替わることをあまり考えていない。業務の属人性が非常に高くなっているため、退職どころか休まれると困るのが実情だ。
労働者側にも、あまり休めないことを誇りに思っている人もいる。「自分が休んだら困るだろ?自分は必要な存在だろ?」と思っていたいだけではないのか。仕事で寝てない自慢と根っこが同じ。自分が優秀な人間だから仕事が多いのだ、仕事の難易度が高いのだという認識。
このような誤った認識を持っている人が少数派ではなく、圧倒的大多数に思える。